世界はつながっているのに、なぜ戦争はなくならないのか

ハラリは『ホモ・サピエンス全史』で、人類は貧困・疫病・戦争を克服し、次なる段階としてAIの時代へ進むと語りました。しかし現実は、その楽観を裏切るかのように、パンデミックは社会の脆弱性を露呈させ、経済格差という新たな貧困を生み、世界各地で戦争が続いています。

2025年の大学入試直前対策講座で、多様性、ポリティカル・コレクトネスの考え方を話していたのですが、その年の慶応大学文学部でRichard Overly “Why War(2024)”「なぜ人は戦争するのか」が出題され、筆者がIf war has a very long human history, it also has a future.と主張するのはなぜか?ということを100120字以内でまとめる問題の生徒の解答を添削しながら考えさせられました。

「戦争の原因は複雑で単一な要素への還元は無益であると筆者は考え、平和が正常な状態だという理想論や、戦争が過去の遺物だという楽観論を批判し、現代においても国家間の対立や紛争が後を絶えず、将来においても形態を変えて存続すると考えているから。」

トランプ大統領が4月にthe era of globalization is over.と言ってからは、世の中の風潮が、加速度的にまた変わり始め、ウクライナ戦争は長期化し、2026年になってからもベネゼエラ、イラン…で起こったことを考えると、「戦争は将来においても形態を変えて存続する」という言語化がまさにその通りのように思え恐ろしくなりました。

テクノロジーが進歩し、世界と瞬時につながれる時代になっても、他者の立場や歴史的文脈を読み取る力が育たなければ、対立は繰り返されてしまいます。英語教育は、単に言語を習得する場ではなく、異なる価値観を持つ他者の思考を理解し、安易な断定や単純化に抗うための訓練の場であるべきです。その意味で、「戦争はなぜ起こるのか」を読み、考え続けること自体が、未来へのささやかな抵抗なのだと改めて感じました。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

“An English teacher’s insight × Harley and American culture × a life shared around sweets. What I’m doing on this website is not decluttering, but a redesign for the next ten years.”

コメント

コメントする

目次